ボードゲームデザイナー紹介 – Stefan Feld(ステファン・フェルト)

蔵人です。今回はボードゲームデザイナーの紹介をします。

第一回はStefan Feld先生。BrugesのリメイクであるHamburgMacaoのリメイクであるAmsterdamが楽しみですね。

そんな彼の作品紹介とおすすめゲームを紹介いたします。

ゲームの特徴

大量の選択肢から最良の回答を導くデザイン

彼のゲームの特徴はなんといっても大量の選択肢の中から盤面を勘案した最良の解答を導くデザインですね。

カードドラフトやハンドマネジメント、ダイス、一風変わってマンカラなど様々なアクションシステムでゲーム構築しますが、そのアクションの選択肢はいつも膨大です。

それに彼のゲームは多少の運要素が絡みます。どの選択肢がいつも強いとも言えないのです。

ただし王道のアクション、ゲームのコアとなるアクションがいつも存在します。Amerigoにおいての植民地独占やThe Castles of Burgundyでの交易はある程度のレースに乗れれば大量の勝利点をもたらします。

そのため王道のアクションをお互いに牽制しながら、いかにサブの選択肢で勝利点を稼ぐか、そのための選択肢のパズルを解くのが彼のゲームの面白い点です。

手軽に遊べるシンプルなデザイン

また、彼のゲームは手軽に遊べるものが多いのも特徴です。

最近熱いゲームデザイナーは一回のプレイ時間が150分を超えるいわゆる重ゲーで評価される人が多いです。密でカラフルな盤面に定評のあるVital Lacerda先生やワーカープレイスメントの巨匠Uwe Rosenberg先生(この人はいつも熱いかな…)、毎度ハンドマネジメントで最高のゲーム体験をもたらしてくれるAlexander Pfister先生などが最たる例でしょうか。

一方でFeld先生の傑作は総じてBGGのweight ratingが3.5以下と中量級のポジションにあるものが多いです。3.5を超えるものもプレイ時間目安が150分を超えるものがありません。

このゲームシステムはシンプルなのに膨大な選択肢に幻惑される、というのが先生の大きな特徴でしょう。

おすすめゲーム5選

では、そんなStefan Feld先生の作品の中から、おすすめゲームを5つ紹介したいと思います。

The Castles of Burgundy

The Castles of Burgundyは配られた自分の城シートに建造物を建てつつ交易を行い、得点を獲得し合計得点で勝負をするゲームです。

ゲームの肝はなんといってもアクションがダイスで決まることです。

このゲームはBGGのランキングで全ゲーム中15位とFeld先生の作品で一番評価が高い作品です。(2021/11/29 時点)私もボードゲームの中で一番好きなゲームですね。

出典:BoardGameGeek

個人ボードは両面に2種類の印刷があり、全員で同じボードを使用するかバリアブルとするか選べます。個人的には初期盤面ランダムの方が他人と展開が異なるのでダイナミックにゲームが進み好きですね。

ダイスを2つ振り、その目とシートおよびボード上で対応するアクションしか選択できません。ただし、目はリソースを消費することでずらすことができます。なので毎アクションが運任せになってしまうことはありません。

ゲームは5ラウンド行われますが、リソースのリフレッシュはラウンドごとにしか行われないため、ボード上のリソースは枯渇しやすいです。

そのため自分の選択肢を優先しつつも相手も盤面を見ながら邪魔をしかけたり、いくつかのサブプランを準備して予期せぬアクションに対応する必要があります。

しかし一度に行うことのできるアクションは2手のみなので、どのアクションを選ぶかが鍵を握りますし、その選択肢の多さが楽しいゲームです。

加えてこのゲームの面白さは建物建設時の効果や個人ボードのエリアをタイルで埋めた際のボーナスにあります。

基本2手番しかない自ターンですが、個人ボードのエリアを埋めた得点で1手増えたり、共通ボードから無償でタイルを得たりと1手相当の効果が各種タイルを置くことで発生していきます。

1手目で建物を建設し効果で建物タイル獲得、2手目でその建物を更に建築、ボーナスでもう1手得る、なんてタイルで個人ボードを埋めつつ埋めたボーナスを駆使して得点を稼ぐのが面白いですね。

ラウンドは5ラウンドしかないですが、かなり濃密なゲームを楽しめます。

出典:BoardGameGeek

現在10周年記念の豪華版が絶賛発売中なので、持っていない方はマストバイ。気になった方はぜひプレイしてみてください。

Trajan

Trajanはかなり異色のセットコレクションゲームでしょう。

プレイヤーは古代ローマのトラヤヌス帝時代の政治家となって内政、外交、出征、貿易を行って勝利点を獲得していき一番を競います。

その各種アクションはマンカラによって決定します。個人ボードのトークンをマンカラのルールに則って順に置き、最後に置かれた場所のアクションのみ行うことができます。

アクションの偏りはトークンの偏りを呼んで小回りのきいたアクションを取ることが難しく、次の一手が後々響いてくると「ああ…あの時…」と頭を抱えながらゲームは進行していくでしょう。

出典:BoardGameGeek

また、個人ボードのマンカラエリアには通常アクションの他にマンカラアクションもタイルとして置かれます。

これはゲーム開始時とゲーム中随時置かれ、通常アクションのエリアのマンカラエリアにアクションタイルがあればそのアクションも行うことができます。

効率よく行えば通常アクションを2回行うようなもので非常に強力ですが、今行いたいアクションを優先するか、妥協して通常とマンカラのアクションにするか、とても悩みます。

この悩みの天秤から開放されて得点計算で勝ちを確信したときのカタルシスはFeld先生のゲームで随一と思ってます。

出典:BoardGameGeek

現在市場で手に入りづらいですが、ゲームカフェには置いてあると思います。見つけたら是非プレイしてみてください。

Bruges

BrugesはFeld先生の選択肢の多さを手軽にまとめあげたハンドマネジメントゲームです。

先生の選択肢の豊富な提供をそのままに、アクションをカード化することで運要素を追加、またプレイヤー間の妨害アクションもあるにもかかわらず短いゲーム時間で楽しめます。

出典:BoardGameGeek

ベルギーはブリュージュの都市開発をプレイヤーは担います。

アクションはすべて手札をコストに行います。各種アクションはカードの色に対応しており、コストとなるミープルの入手と支払い、妨害となる災害トークンの除去、人物の登場は同色のコストが必要です。

しかし手札は5枚ですが1ラウンドは4手番しかないので1枚のカードが1枚のアクションとなることはほとんどなく、コストとなるトークンを得るだけに留まったり、お金を入手するだけのこともあります

このようにプレイヤーはカードの用途に悩みながらゲームを進めることになります。

ただし、このゲームの面白さは他のFeld先生の作品と異なり、悩んだ先の開放感よりゲーム中のカードアクションにあると思います。このゲームのカードにはいくつかの属性があり、カードアクションの強いシナジーがあります。

場に出た人物カードには永続的に効果を提供するものがあります。それらを組み合わせて1手番中に何十金もの大金を得たり、全プレイヤーに災害をばらまいて妨害したりとカードの組み合わせが楽しいゲームです。

カードは出すだけで基本的に勝利点に直結するのもゲームをわかりやすくしています。

出典:BoardGameGeek

この作品はHamburgとしてリメイクが決まっています。Brugesを入手するのは現在難しいかもしれませんが、こちらのリメイクはおそらく来年度には日本語化されると思うので是非手に入れたいですね。
こちらもゲームカフェで見つけたら是非プレイしてみてください。

Notre Dame

Notre DameはFeld先生の初期作品です。

この頃から選択肢の多様さはブレていませんが、少し荒削りというか各種アクションの強さにとても明確な差があります。

こちらもBruges同様短いゲーム時間で手軽に遊べるゲームで、先生の作品では珍しく5人まで遊べます。

ゲームはカード主体ですがカードドラフトの要素があり、自分のアクション選択肢の2/3は対戦相手より回ってくるカードプールから選びます。

3枚の手札から2回、2枚のカードでアクションを行い9回のラウンドを終えて勝利点を競います。プレイ感想は当ブログに記事があるのでそちらも御覧ください。

出典:BoardGameGeek

カードと個人ボードは1対1で対応しており、カードを使用するとストックからリソースを置き、その個数でアクション結果が変わります。

アクションの選択肢はカードドラフトで決まるのであまり悩まないのですが、ストックにリソースを保ちつつアクションを続けることには腐心します。

そしてスパイスにプレイヤーに悩みの種を植える要素として、ネズミの管理があります。このゲームは14世紀フランスはパリを舞台にしており当時ペスト媒介していたネズミが猛威をふるいます。

ネズミはラウンドごとに着実に増えるのでその対処をプレイヤーにせまります。

その合間を縫って強いアクションカードを使用したり、次ターンのためのリソースを得る緊迫感が面白いゲームです。

Brugesよりもカードの種類が圧倒的に少なく、把握すべきアクションも8通りしかないのでかなり簡単に遊べます。3時間超のゲームを終えたあとの箸休めに最適です。

出典:BoardGameGeek

2017年に10周年記念の和訳付きが発売されたのでまだ市中で入手できるかもしれませんね。是非、プレイしてみてください。

Carpe Diem

最後に紹介するゲームはCarpe Diem、2018年発売の比較的新しい作品です。

Feld先生の作品では珍しく、かなりアブストラクト性の高いゲームになっています。

そのためルールは単純、アクションもシンプルですが、プレイ時間は長くなりがちです。初回は2~3時間くらいかかるのではないでしょうか。

まぁボードゲームに書かれたプレイ時間指標は実際にプレイしてみないと参考にならないのはこのゲームに限った話ではありませんね。

こちらのゲームもプレイ感想がありますのでぜひご覧ください。

箱のデザインが2通りあってaleaの見知ったデザインが個人的には好きです。

ゲームのシステムはタイルプレイスメントで、共通ボードから各プレイヤーが順に1枚ずつ計7枚のタイルを個人ボードに並べていく、それだけです。

それだけですがプレイヤーが取得可能なタイルには制限があり、プレイヤーマーカーが置かれているエリアから2方向のエリアのタイルしか取れません。

例外としてリソースを消費するとその制限を無視できますが、基本的には限定されたタイルしか選択できません。タイルには配置制限があるので、かなり慎重に選びます。

出典:BoardGameGeek

取得したタイルも個人ボードも個人リソースもすべて公開されているので、限定されたタイルの取り合いはかなり殺伐として妨害のし掛けあいになります。

「じゃあ妥協してこのタイル」という選択肢が取得制限のため成立しにくいので、プレイヤーは自分のタイル優先順位と他人のタイル優先順位を常に天秤にかけます。

このゲームで提供される選択肢はアクションの多様さではなく取得するタイルの多様さですが、タイルの取得制限と配置制限で自分の欲しいタイルはそんなに悩みません。自分と他人のボードを睨んで相手の妨害を行うために悩むのです。

出典:BoardGameGeek

ドイツゲームに運要素はつきものですが、たまにはこんなゲームでバチバチしながら殴り合う展開も楽しいです。ゲームで不機嫌にならない友人と遊びましょう。

総括

いかがでしたでしょうか。Feld先生のゲーム特徴とおすすめゲームを紹介いたしました。

間違いなくドイツゲーム啓発期を支えた巨匠だと思っています。

選択肢の多さに悩む作品群はみなリプレイ性が高く何度やっても飽きないゲームばかりなので気に入った作品は是非購入したいですね。

次はUwe Rosenberg先生を紹介したいと思います。ご期待ください。

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